システム開発の仕事は人が重要。
優れた手法やツール自体よりも、誰がそれを使うかのほうが重要であるケースのほうが多いと思います。
そして、優秀な人がモチベーションを高く保ち続ける組織。新たに参加したいと思える組織とはどんなものか考えてみました。
その中の要素の一つに「仕事が楽しいこと」ということが含まれるでしょう。
目的達成の道筋を作り、その中に「楽しさ」を持つゲーミフィケーションに対する関心が高まり、書籍GAMIFYを購入しました。
GAMIFY ゲーミファイ―エンゲージメントを高めるゲーミフィケーションの新しい未来
- 作者: ブライアン・バーク,鈴木素子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/01/15
- メディア: 単行本
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GAMIFY要約
ゲーミフィケーションの定義
ポイント・バッジ・ランキングなどのゲームメカニクスを用いて、ユーザー体験を設計し、
ユーザーが自身の目標を達成できるように、
個人が関与するのではなくデジタル技術によって内的な動機づけを行うこと
です。
ゲーミフィケーションの目的
ゲーミフィケーションの目的は、企業やサービスの目的=ビジネス目標を達成させるために
そのプレイヤー自身の目的に内的な動機づけを行うことです。
ここで注意が必要なのは、各個人はビジネス目標そのものに対して強い動機を持つわけではなく
各個人が持つ動機で動く、ということです。
その2つが重なっていれば結果的にビジネス目標が達成されやすくなります。
アンチパターンとして挙げられているのが、ビジネス目標のみを考えてゲーミフィケーションの
デザインをしてしまうことです。
こうなってしまうと、プレイヤー自身の目標=プレイヤー目標とズレが生じてしまうため、
効果を発揮しにくくなります。
あくまで中心はプレイヤー。
プレイヤー中心アプローチにする必要があります。
プレイヤー体験デザイン
プレイヤー体験のデザインプロセスは以下のようになります。
個別にふれていきます。
ビジネス目標と成功基準を定義
ゲーミフィケーションは明確なビジネス目標を達成するために行われます。
そのため達成すべき目標を明確にします。
ゲーミフィケーションそのものはあくまで手段でしかありません。
しかし、書籍中でも述べられているように「ゲーミフィケーションさえ導入すれば、なんかいいかんじになるんじゃね?」
的な誤用も多いようです。
そして計測可能な目標を定義することでその成功基準が明確になります。
この辺りは下記の記事の SMARTな目標 にもつながりますね。
ゲーム対象者を定義
ゲーミフィケーションではビジネス目標を達成するためにプレイヤー目標に内的動機付けを行います。
そのためにはプレイヤーのことを深く知る必要があります。
プレイヤーに関する調査を行い、ペルソナを作成します。
プレイヤー目標を定義
プレイヤーの動機付けを行うため、プレイヤー目標を定義します。
ここで定義したプレイヤー目標と事前に定義したビジネス目標が重なる部分の
内的動機付けを行うようにゲームデザインをしていきます。
エンゲージメントモデルを決定
動機付けすべき対象が決まったところで、その実現方法を決定します。
A | B |
---|---|
協力型 | 競争型 |
内的報酬 | 外敵報酬 |
複数プレイヤー | 単独プレイヤー |
単発型 | 継続型 |
創発的 | 計画的 |
プレイヤーのペルソナや目標に合わせて上記のような要素を調整してエンゲージメントモデルをつくりあげます。
プレイ空間を定義し、プレイヤージャーニーを計画
エンゲージメントモデルを実際のシステムとしてどのように実現するかを計画します。
プレイ空間はプレイヤーがゲームに没頭する空間です。
典型的なものとしては、バッジを確認したり、ランキング画面があったりというようなものです。
プレイヤージャーニーはプレイヤーがたどる工程です。
初心者から上級者まで、継続してモチベーションが維持できるようにストーリーを用意します。
少しずつ難易度が上がっていくけど、楽しく続けられる。むしろやめどころがなくどんどん続けたくなるようなゲームを想像するとよさそうです。
ゲームの経済システムを定義
楽しさ、モノ、人とのつながり、自尊心などの基本的価値を報酬とした経済システムを定義します。
これらを実現する手段の典型としてバッジ、ランキング、ポイントがあります。
その他にも、
- いいね
- 発見
- 驚き
- 熟練
など様々な報酬が考えられます
試運転を繰り返す
様々な計画、定義のもと実際に実施・運営されていきますが、あくまで仮説の元に実施されているため、
試運転を繰り返し継続改善する必要があります。
そういった意味でも計測可能で明確な成功基準を最初に定義しておいたことが役にたちます。
目標の達成度合いに応じてシステムを改善していくことができます。
まとめ
ゲーミフィケーションそのものも面白そうですが、
そのエッセンスだけでも活用できそうなケースはありそうです。
例えば ChatBot を利用したチャットコミュニケーション・リモートワークの支援など。
「どうやったら一緒にいる仲間のモチベーションを上げることができるか?」
「どうやったら一緒にいる仲間にもっともっと喜んでもらえるか?」
を考えるきっかけにもなりますね。