概要
恐怖政治から開発者を守る
システム開発の現場改善記シリーズの目的
下記のリンク先を参照ください
前提
- とある SI'er の案件の 2 次請として派遣されて、 Java の Web システムの開発をしていた時の話
- 現場には元請けの正社員さんが約 6 割、その他は様々な協力会社やフリーのエンジニアが約 4 割ほど集められていました
- 開発チーム全体は約 25 名です
- 同じ会社の同期の松岡くん(仮)と 2 人で参入していた
- このリンクの彼です => 彼の話
- 同期は元営業職
- コミュニケーション能力が高い
- 駆け引きがうまい
- 雰囲気づくりがうまい
- 開発チームのリーダーを担当
※以下の現場とは別の案件です。同じような文章がある部分はたまたま実際に同じだった部分です
システム開発の現場改善記 - あるプロジェクトを営業上がりの新人開発者が救った話 - TbpgrBlog
目次
1. 状況
とある SI'er の開発現場。
毎月 250 - 300 時間労働 の日々。
すでに半年以上のデスマーチを経て、このままではどうやっても納品は間に合わず、
仕方なく 納期の延期が決定 しました。
この現場には こわーいこわーい PM がいました。
この PM はプレイヤーとしてはとても優秀だったようで、
部下の細かな不足・不備 に良く気づきました。
そして、社員同士のちょっとした会話も見逃しません。
「お前、それ間違ってるぞ」・・・からの 怒号と説教 。
「お前等本当に相談する必要あるのか?」・・・からの 怒号と説教 。
説教は長く、大声で続きます。
開発ルームは 1 つのフロアに全てのメンバーがいました。
説教が始まると「また始まったよ・・」と説教をされている以外のメンバーの集中が途切れ、
手が止まっているのが分かります。
基本的に怒号と説教を受けるのは 正社員さん です。
特に正社員さんは、いつ矛先が自分にくるか、と 怯えている ようです。
人の怒鳴り声を聞くというのは気持ちいいものではないもので、
各人例に漏れず不快そうな顔 をしています。
そう、この怒号によって 開発者全員の進捗に影響 を与えているのです。
2. 怒号の積み重ねが招いた無行動の慣習
指摘されている本人たちは、確かに間違ったことを指摘されてはいるものの
怒られていること自体で滅入っている ようです。
また、 説教が長かったり 、 一度に受ける指摘内容が多すぎ て頭に入らないようです。
結果として、改善できず同じ指摘を受け続けます。
稼働時間の長さもあるため、自発的に学習することを望むのは酷です。
ひどい剣幕で、しかも 全開発者の前 で連日怒られたメンバーは 日に日にやつれていきました 。
特に 正社員さん は、ちょっとしたことで指摘を受ける可能性が高いため自席を立たず、
本来他のメンバーと相談した方が良いことや、助けて欲しいことについても相談できずにいます。
プロジェクト初期には建設的な提案をしていたメンバーも、怒られることを恐れ
全く提案をしなくなっていました。
開発現場はシーーーーンと静寂を保っているか、 PM の怒鳴り声が響いているかの二択になりました。
3. 助け船を出す
状況を理解した私は、チームリーダーの立場であることもあり、
各メンバーの元に定期的に巡回 し、問題があれば引き出すことにしました。
私は協力会社かつ開発チームのリーダーということもあり、
私が社員さんと話していることについてはPM からも特に強い突込みは入りません。
各社員さん的に私には話しやすいようで、
問題点や分からないことを色々と吐き出してくれました。
何度も怒られていた内容も、丁寧に指導すればしっかり覚えてくれます。
とはいえ、さすがに 気を配らなければならない人数が多すぎる ので
同じく協力会社の立場で動きやすい松岡くんと別会社の八神くんにも協力してもらいます。
4. 結果
私と松岡くんと八神くんの 3 名体制でのフォローにより、 隠蔽されていた問題のあぶり出し や
聞きたいことを聞けずに 手が止まっている開発者のサポート に成功しました。
ポイント
- 開発現場の「人」の課題
- 集中力と割り込み
- 雰囲気づくり
- モチベーション
- 制約が強い現場で出来る限りのことを行う
- 胃が痛かった